公正な取引の担保のため、その阻害要因としての暴力は市場から追放されねばならない。
その一方で、かのトマス・ホッブズに従えば、「剣なきことばは弱い」。平和のため、国家の
秩序の安定のため、血なまぐさき暴力は時に肯定されねばならない。
相互の信頼と長期的な繁栄を期するべく、市場において虚偽は忌むべきものとして
排除されねばならない。しかし同時に「嘘も方便」、自国の利益、自国民の利益のため、
嘘の一つもつけぬ者に国を統べる資格などあろうはずもない。
シンポジウムsymposiumなる語の語源はギリシア語のsymposion、すなわち、
酒を酌み交わしつつ、真理の追求のため、侃々諤々各々がその意見を戦わせる饗宴の場を
その由来に持つ。
そして本書の議論はすべてプラトンの対話篇の顰に倣って進められる。
きっかけは一枚の招待状、「正直の徳が崩壊した理由を探求する」ことを目的に集った
多士多彩6人のメンバーが、市場の倫理、統治の倫理をめぐって熱い討議をぶつけ合う。
二つの倫理をめぐる区別の正当性、および正統性はいかなるものか? この二つの混同が
いかなる悲惨を引き起こしているのか? 両者の共存、併存の可能性は?
歴史から引き出された広範なケーススタディをもとに、ジェイコブズが引き出す結論は
希望にも似て、そして絶望にも似る。
選択の自由―自立社会への挑戦 (日経ビジネス人文庫)
日本経済新聞社
日本経済新聞社
アメリカのレーガノミックス 、イギリスのサッチャリズム 、ニュージーランドのロジャーノミクス に影響を与えたとされるM.フリードマン のベストセラー。
小泉政権以後の日本の改革にも強い影響を与えているらしい。初版は1980年。市場の失敗を論ずる本が多いなか、政府の失敗を説く本書は貴重に思われた。
本書の主張としては、
1.主にアメリカ政府を例にとり、これまでの政策が如何に国民に社会的、経済的損失をもたらしてきたか。
2.国民の「国なら間違いない」という宗教染みた信仰が、如何に政府と官を膨張させてきたか。
3.国民のためと称する規制が、崇高な理念と裏腹に、如何に特定利益集団の保護に利用されてきたか。
といったところだろうか。そして、ほぼ本書に示されている通りに日本の改革が進行していると感じる。
感想としては、政府に対する批判とともに、国民に対しても自立を求めている点が好感が持てた。
「税金は払いたくないが、サービスは増やせ」など無理な要求はするなと。そのような要求が政治家を借金による財政支出増大に走らせ、政府を肥大させていく結果になると。
本書とドラッカーの「断絶の時代」を読むとともに、今の世の中の動きを合わせて考えると、やはり政府(and官)の規模は縮小していくと同時に、
個人の責任と自立が一層求められる時代になるのかな。
もっとも日本の場合、本書のような崇高な理念に推されたわけでなく、財政難によって否応なく・・・・という感じですが。
そして、個人が好むか否かに関係なく規制緩和とグローバリゼーションも一層進んでいく。
600ページ超ありますが、ドラッカーの「断絶の時代」とともに、賛否は別としても、読んでおくべき本と思います。
小泉政権以後の日本の改革にも強い影響を与えているらしい。初版は1980年。市場の失敗を論ずる本が多いなか、政府の失敗を説く本書は貴重に思われた。
本書の主張としては、
1.主にアメリカ政府を例にとり、これまでの政策が如何に国民に社会的、経済的損失をもたらしてきたか。
2.国民の「国なら間違いない」という宗教染みた信仰が、如何に政府と官を膨張させてきたか。
3.国民のためと称する規制が、崇高な理念と裏腹に、如何に特定利益集団の保護に利用されてきたか。
といったところだろうか。そして、ほぼ本書に示されている通りに日本の改革が進行していると感じる。
感想としては、政府に対する批判とともに、国民に対しても自立を求めている点が好感が持てた。
「税金は払いたくないが、サービスは増やせ」など無理な要求はするなと。そのような要求が政治家を借金による財政支出増大に走らせ、政府を肥大させていく結果になると。
本書とドラッカーの「断絶の時代」を読むとともに、今の世の中の動きを合わせて考えると、やはり政府(and官)の規模は縮小していくと同時に、
個人の責任と自立が一層求められる時代になるのかな。
もっとも日本の場合、本書のような崇高な理念に推されたわけでなく、財政難によって否応なく・・・・という感じですが。
そして、個人が好むか否かに関係なく規制緩和とグローバリゼーションも一層進んでいく。
600ページ超ありますが、ドラッカーの「断絶の時代」とともに、賛否は別としても、読んでおくべき本と思います。
市場対国家―世界を作り変える歴史的攻防〈下〉 (日経ビジネス人文庫)
ダニエル ヤーギン日本経済新聞社
日本経済新聞社
本日(2008年7月7日)は洞爺湖サミットの初日にあたる。この本が出版されてからちょうど10年がたつ。
実は上下巻のうち、上巻は購入直後に読んでいたのだが、恥ずかしながら下巻は読まずにそのままでいた。その間のこの本に対する感想は、「要するに市場は国家に勝ったのね」ということを言いたいのだろう、と思っていた。
最近ふと、下巻を取り出して私の大きな誤読に気づいた。筆者たちは社会主義の消滅から資本主義礼賛を唱えているのではない。市場と国家の関係は常に変化し見直されている。特に第13章信認の均衡、「五つの規準」がなんと素晴らしいことか。市場と国家の今後の関係を占ううえで、例えば、「公正さが保たれているか」要するに格差問題、「国のアイディンティティを維持できるか」つまり外資系ファンドに対する感情、「環境を保護できるか」「人口動態の問題を克服できるか」つまり高齢化に伴う年金と健康保険問題、を指摘している。
まさに2008年の日本の課題をここまで的確に占われているとは驚きである。この事実をとっても、この本は単なる一過性の経済本ではなく、節目節目で読み返すに足る書籍であることを感じた。
実は上下巻のうち、上巻は購入直後に読んでいたのだが、恥ずかしながら下巻は読まずにそのままでいた。その間のこの本に対する感想は、「要するに市場は国家に勝ったのね」ということを言いたいのだろう、と思っていた。
最近ふと、下巻を取り出して私の大きな誤読に気づいた。筆者たちは社会主義の消滅から資本主義礼賛を唱えているのではない。市場と国家の関係は常に変化し見直されている。特に第13章信認の均衡、「五つの規準」がなんと素晴らしいことか。市場と国家の今後の関係を占ううえで、例えば、「公正さが保たれているか」要するに格差問題、「国のアイディンティティを維持できるか」つまり外資系ファンドに対する感情、「環境を保護できるか」「人口動態の問題を克服できるか」つまり高齢化に伴う年金と健康保険問題、を指摘している。
まさに2008年の日本の課題をここまで的確に占われているとは驚きである。この事実をとっても、この本は単なる一過性の経済本ではなく、節目節目で読み返すに足る書籍であることを感じた。
クルーグマン教授の経済入門 (日経ビジネス人文庫)
ポール クルーグマン日本経済新聞社
日本経済新聞社
かなりもったいない本。とても面白そうな内容なのに、訳が最悪。訳者の山形浩生(ひろお)氏は、彼の他の訳本のレビューでも非難されていますね。
出版社もこの人を訳者に選ぶのはやめた方がいいのではないでしょうか。訳者の日本語ボキャブラリーのなさだけが印象に残った本でした。
出版社もこの人を訳者に選ぶのはやめた方がいいのではないでしょうか。訳者の日本語ボキャブラリーのなさだけが印象に残った本でした。
市場主義 (日経ビジネス人文庫)
元重 伊藤日本経済新聞社
日本経済新聞社
内容自体は面白くてためになります。
同著者による『市場の法則(1998年)』と『市場主義(2000年)』は六割強同じ内容と記述です。また、『市場主義(2000年)』と『ビジネス・エコノミクス(2004年)』は8割強(9割?)同じ内容と記述です。どれか一冊ということであれば、『ビジネス・エコノミクス(2004年)』を薦めます。(しかし、これで各出版社は何も言わないんだろうか?)
同著者による『市場の法則(1998年)』と『市場主義(2000年)』は六割強同じ内容と記述です。また、『市場主義(2000年)』と『ビジネス・エコノミクス(2004年)』は8割強(9割?)同じ内容と記述です。どれか一冊ということであれば、『ビジネス・エコノミクス(2004年)』を薦めます。(しかし、これで各出版社は何も言わないんだろうか?)
決断 - 私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)
英二 豊田日本経済新聞社
日本経済新聞社
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経済学をつくった巨人たち―先駆者の理論・時代・思想 (日経ビジネス人文庫)
日本経済新聞社
日本経済新聞社
わずかな図と表を除けば、数式はない。数学の苦手な方にはもってこい。
が、よいところばかりではない。でてくる概念に解説はなく、一流どころの学者陣が書いているので、文章は堅め。巻末に解説を載せればもう少し読みやすくなったのでは?
が、よいところばかりではない。でてくる概念に解説はなく、一流どころの学者陣が書いているので、文章は堅め。巻末に解説を載せればもう少し読みやすくなったのでは?
快人エジソン - 奇才は21世紀に甦る (日経ビジネス人文庫)
和幸 浜田日本経済新聞社
日本経済新聞社
「エジソンなんて知ってるよ! 小さい頃伝記を読んだよ」
という人はこれを読もう。
自分の知っていたエジソン像と大きく異なっていることに驚くだろう。
メモしたいところに線を引いていったら本が線だらけになってしまいました。
それくらい学ぶことの多い人です。
忙しい中毎日必ず3冊の本を読み、書店の本は棚単位で買ったエジソン。
耳が不自由だったが、そのおかげで集中できたとポジティブに受け止める。
メモ魔であり、メモはノート3500冊に及び、その解析は2015年までかかるという。
莫大な研究費は、新聞を使ったメディア操作術で獲得。しかし常に研究につぎ込むため、社員に払う金にも困っていたというお金への執着心のなさ。
そして親日家でもあったエジソンの真の姿をみんなにも知ってほしいです。
という人はこれを読もう。
自分の知っていたエジソン像と大きく異なっていることに驚くだろう。
メモしたいところに線を引いていったら本が線だらけになってしまいました。
それくらい学ぶことの多い人です。
忙しい中毎日必ず3冊の本を読み、書店の本は棚単位で買ったエジソン。
耳が不自由だったが、そのおかげで集中できたとポジティブに受け止める。
メモ魔であり、メモはノート3500冊に及び、その解析は2015年までかかるという。
莫大な研究費は、新聞を使ったメディア操作術で獲得。しかし常に研究につぎ込むため、社員に払う金にも困っていたというお金への執着心のなさ。
そして親日家でもあったエジソンの真の姿をみんなにも知ってほしいです。
移りゆくこの十年 動かぬ視点 (日経ビジネス人文庫)
青木 昌彦日本経済新聞社
日本経済新聞社
本書は、1991年に刊行された「スタンフォードと京都の間で」と近年のエッセイや新聞のコラム等を1冊の文庫にまとめたものである。なお、書き下ろしとして本書の最後に「制度とは何か、どう変わるか、そして日本は?」という40ページの小論文でバラバラになっている内容を統合している。
忙しい方は、最後の「制度とは何か、どう変わるか、そして日本は?」のみ読まれても良いと思う。これさえ読めば、比較制度分析に関する内容は80%理解できるだろう。
ただ、隙間時間等を活用することで他の部や章も併読したほうが良い。
身近な事例から具体例や応用例を取り上げているので、重複を加味すると理解が一層早くなるだろう。
(中略)
国際シュムペーター学会シュムペーター賞を受賞した「比較制度分析に向けて」の入門書として、本書は手軽に読むことができ、具体的で分かりやすい内容である。そのため、私のような「比較制度分析に向けて」を手に取るのを延期している方は、本書を読まれることをおススメする。
ちなみに、私は複数の章を3箇所から同時並行で読んだ。具体的には、隙間時間に読む章と余裕がある時間に読む章、その中間の章に分け、3方向から本書を読破した。
最後に、比較制度分析に関する用語について。漢字を読めば何となく分かるが、定義が分からないと誤解してしまう恐れがある。
・制度:「制度とは、人々のあいだで共通に了解されているような、社会ゲームが継続的にプレイされる仕方のことである」(p.334-335)
・制度的補完性:「制度を均衡状態の反映とみる考え方の一つの大きな利点は、社会システムの様々な制度がランダムに結合しているのではなく、それぞれがお互いの存在価値を補強しあっている、という直感的な概念に、しっかりとした分析的な根拠を与えうることである」(p.335)
・制度変化:「制度変化は、まず一つの均衡から他の均衡への推移を意味する」制度変化は市場・技術環境から変化し、制度体系のブレーク・スルー or じわじわと変化する方法で行われる。
我が国の制度変化には、「仕切られた多元主義」と「モジュール化」の2つが必要である。「仕切られた多元主義」とは、「総論賛成・各論反対」のような既得権益保護の政治経済的な制度である。一方、「モジュール化」とは、組織が液晶モニターやOSなどの機能的にまとまった単位(=モジュール)になることである。
忙しい方は、最後の「制度とは何か、どう変わるか、そして日本は?」のみ読まれても良いと思う。これさえ読めば、比較制度分析に関する内容は80%理解できるだろう。
ただ、隙間時間等を活用することで他の部や章も併読したほうが良い。
身近な事例から具体例や応用例を取り上げているので、重複を加味すると理解が一層早くなるだろう。
(中略)
国際シュムペーター学会シュムペーター賞を受賞した「比較制度分析に向けて」の入門書として、本書は手軽に読むことができ、具体的で分かりやすい内容である。そのため、私のような「比較制度分析に向けて」を手に取るのを延期している方は、本書を読まれることをおススメする。
ちなみに、私は複数の章を3箇所から同時並行で読んだ。具体的には、隙間時間に読む章と余裕がある時間に読む章、その中間の章に分け、3方向から本書を読破した。
最後に、比較制度分析に関する用語について。漢字を読めば何となく分かるが、定義が分からないと誤解してしまう恐れがある。
・制度:「制度とは、人々のあいだで共通に了解されているような、社会ゲームが継続的にプレイされる仕方のことである」(p.334-335)
・制度的補完性:「制度を均衡状態の反映とみる考え方の一つの大きな利点は、社会システムの様々な制度がランダムに結合しているのではなく、それぞれがお互いの存在価値を補強しあっている、という直感的な概念に、しっかりとした分析的な根拠を与えうることである」(p.335)
・制度変化:「制度変化は、まず一つの均衡から他の均衡への推移を意味する」制度変化は市場・技術環境から変化し、制度体系のブレーク・スルー or じわじわと変化する方法で行われる。
我が国の制度変化には、「仕切られた多元主義」と「モジュール化」の2つが必要である。「仕切られた多元主義」とは、「総論賛成・各論反対」のような既得権益保護の政治経済的な制度である。一方、「モジュール化」とは、組織が液晶モニターやOSなどの機能的にまとまった単位(=モジュール)になることである。